- 【JSH(150A)の将来性】障がい者雇用支援と在宅医療で黒字転換できるのか?
- JSHはどのような会社なのか
- 2026年3月期決算の概要
- 注目ポイント① 売上高は約20%増加
- 注目ポイント② 地方創生事業が収益の柱
- 障がい者雇用支援サービスとは何か
- コルディアーレ農園のビジネスモデル
- 地方創生につながる理由
- 注目ポイント③ 法定雇用率引き上げが追い風
- 地方創生事業の成長余地
- 地方創生事業のリスク
- 注目ポイント④ 在宅医療事業は将来への先行投資
- 訪問看護とは何か
- 精神科訪問看護の必要性
- 在宅医療市場が拡大する理由
- 訪問看護拠点が黒字化する仕組み
- 在宅医療事業の黒字化が最大の焦点
- 注目ポイント⑤ 医療人材の確保
- 注目ポイント⑥ IoT事業を育成
- 無人内見システムのメリット
- IoT事業を第三の柱にできるか
- 注目ポイント⑦ 2027年3月期は黒字転換予想
- 2027年3月期計画を達成する条件
- 注目ポイント⑧ 社会課題解決型企業としての強み
- 注目ポイント⑨ ストック型収益の可能性
- 財務面で注意すべきポイント
- JSHの強み
- 最大のリスク
- テンバガーの可能性
- 今後見るべきポイント
- 総合評価
- まとめ
【JSH(150A)の将来性】障がい者雇用支援と在宅医療で黒字転換できるのか?
JSH(150A)は、障がい者雇用を支援する地方創生事業と、訪問看護を中心とした在宅医療事業を展開する社会課題解決型企業です。
企業の障がい者雇用を支援しながら、地方に雇用機会を生み出す事業と、高齢者や精神疾患を抱える人の在宅生活を支える医療事業を組み合わせています。
さらに、不動産業界向けの無人内見システムなど、IoTを活用した新規事業も育成しています。
JSHが関わるのは、単なる一時的な流行ではありません。
日本が長期的に抱える以下の社会課題と深く関係しています。
- 障がい者の雇用機会不足
- 企業に求められる障がい者雇用率の上昇
- 地方の雇用創出
- 高齢化による在宅医療需要の拡大
- 医療・介護人材の不足
- 不動産業界のDX
2026年3月期は、売上高47.4億円となり、前年同期比19.5%の増収を達成しました。
一方で、訪問看護拠点の積極開設や人材採用などの先行投資が重く、営業損失1.05億円となりました。
ただし、主力の地方創生事業は高い利益成長を実現しており、会社は2027年3月期に営業黒字へ回復する計画を示しています。
今後の最大の焦点は、拡大してきた在宅医療拠点が売上と利益を生み出し、地方創生事業の利益を食い潰す状態から脱却できるかです。
本記事では、JSHの障がい者雇用支援、コルディアーレ農園、訪問看護、IoT事業、業績、財務、成長性、リスクについて詳しく解説します。
JSHはどのような会社なのか
JSHは、「人を通じて、喜びを作り、幸せを作る」という考えのもと、社会課題の解決につながる事業を展開しています。
主な事業は、以下の3つです。
- 地方創生事業
- 在宅医療事業
- IoTソリューション事業
地方創生事業では、企業の障がい者雇用を支援する農園型サービスを提供しています。
在宅医療事業では、精神科訪問看護を中心に、利用者の自宅や施設を訪問して看護サービスを提供しています。
IoT事業では、不動産会社向けの無人内見システムなどを展開しています。
収益の柱となっているのは地方創生事業ですが、将来の成長に向けて在宅医療事業とIoT事業への投資を進めています。
2026年3月期決算の概要
2026年3月期の連結業績は、以下のとおりです。
- 売上高:47.4億円(前年同期比19.5%増)
- 営業損失:1.05億円
- 経常損失:1.08億円
- 純損失:1.21億円
売上高は前年から約20%増加しました。
一方、前年は営業利益1.76億円を計上していたものの、2026年3月期は営業赤字へ転落しました。
売上が増えたにもかかわらず赤字となった主な理由は、在宅医療事業で新規拠点を大量に開設し、人材採用や教育、営業活動などの費用が先行したためです。
JSHの決算を見る際には、単純に「赤字だから悪い」と判断するのではなく、赤字の原因が既存事業の悪化なのか、将来の成長に向けた先行投資なのかを分けて考える必要があります。
今回の場合、主力の地方創生事業は増収増益を達成しています。
その一方で、在宅医療事業とIoT事業が先行投資段階にあり、全社利益を押し下げました。
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注目ポイント① 売上高は約20%増加
JSHの2026年3月期売上高は47.4億円となり、前年同期比19.5%増加しました。
過去の売上高推移を見ると、以下のように事業規模は拡大しています。
- 2023年3月期:34.1億円
- 2024年3月期:38.2億円
- 2025年3月期:39.7億円
- 2026年3月期:47.4億円
2025年3月期までは成長率が比較的緩やかでしたが、2026年3月期は売上成長が加速しました。
地方創生事業で障がい者の受け入れ人数や利用企業が増えたことに加え、訪問看護拠点の拡大も売上増加につながっています。
売上成長そのものは順調ですが、今後は売上だけでなく利益を伴う成長へ移行できるかが重要です。
注目ポイント② 地方創生事業が収益の柱
地方創生事業の2026年3月期業績は、以下のとおりです。
- 売上高:32.05億円(前年同期比27.8%増)
- セグメント利益:7.76億円(同39.8%増)
売上高は約28%増加し、セグメント利益は約40%増加しました。
売上の伸び以上に利益が増加しており、非常に高い収益性を持つ事業であることが分かります。
セグメント利益率は単純計算で約24%となり、JSH全体の利益を支える中心事業となっています。
地方創生事業では、企業向けに障がい者雇用を支援する農園型サービスを提供しています。
全国の農園ネットワークは26拠点まで拡大しています。
障がい者雇用支援サービスとは何か
一定規模以上の民間企業には、従業員数に応じて一定割合以上の障がい者を雇用する義務があります。
しかし、実際に障がい者を採用し、働きやすい業務や環境を用意し、長期的な定着を支援することは簡単ではありません。
企業側には、以下のような課題があります。
- 障がい者に適した業務を作れない
- 採用ノウハウが不足している
- 職場環境を整備できない
- 雇用後の支援方法が分からない
- 地方に事業所や雇用機会が少ない
JSHは、こうした企業の課題に対して、農園という働く場所と運営支援を提供しています。
利用企業は障がい者を雇用し、JSHが運営する農園内で業務を行ってもらう仕組みです。
JSHは農園の設備、業務環境、管理支援、定着支援などを提供し、企業から利用料を受け取ります。
コルディアーレ農園のビジネスモデル
JSHは「コルディアーレ農園」などの名称で、障がい者雇用支援サービスを展開しています。
農園を利用する企業に対し、以下のような支援を提供します。
- 就業場所の提供
- 障がい者人材の採用支援
- 職場環境の整備
- 農作業や業務の運営支援
- 障がい者の定着支援
- 企業の雇用管理支援
この事業の特徴は、農産物を販売して大きな利益を得ることが中心ではない点です。
企業の障がい者雇用を支援し、農園設備や管理サービスを提供することで継続的な収益を得るモデルです。
一度契約した企業が長期間利用すれば、毎月または継続的に収益が発生するストック型事業になりやすい特徴があります。
地方創生につながる理由
障がい者雇用支援農園は、地方に新しい働く場所を生み出します。
都市部に本社を置く企業でも、地方の障がい者を雇用する機会を作ることができます。
この仕組みには、以下のような社会的な意味があります。
- 地方での障がい者雇用創出
- 都市と地方の雇用格差縮小
- 働くことによる社会参加
- 企業のダイバーシティ推進
- 地域経済への貢献
企業にとっては法定雇用率への対応だけでなく、ESG、人的資本、ダイバーシティ経営の一環としても活用できます。
そのため、単なる人材サービスではなく、社会課題と企業課題を同時に解決する事業モデルといえます。
注目ポイント③ 法定雇用率引き上げが追い風
民間企業に求められる障がい者の法定雇用率は段階的に引き上げられており、2026年7月には2.7%となる予定です。
法定雇用率が上昇すると、企業が雇用しなければならない障がい者数も増えます。
例えば、従業員1,000人の企業では、雇用率が0.2ポイント上昇するだけでも、必要な雇用人数が増加します。
企業が自社内だけで必要人数を採用・配置できなければ、JSHのような外部支援サービスへの需要が高まる可能性があります。
特に以下のような企業では、利用ニーズが生まれやすいと考えられます。
- オフィス業務中心で仕事を切り出しにくい企業
- 全国に従業員を抱える大企業
- 法定雇用率を達成できていない企業
- 障がい者の定着支援に課題を持つ企業
- 地方創生やESGを重視する企業
法定雇用率引き上げは、JSHにとって短期的なキャンペーンではなく、構造的な追い風となる可能性があります。
地方創生事業の成長余地
現在、JSHの農園ネットワークは全国26拠点まで拡大しています。
今後、新規地域へ拠点を開設し、既存農園の利用率を高めることで、さらに売上を増やせる可能性があります。
地方創生事業の成長要因には、以下があります。
- 法定雇用率の引き上げ
- 契約企業数の増加
- 障がい者受け入れ人数の増加
- 新規農園の開設
- 既存農園の稼働率向上
- サービス単価の改善
この事業では、新規拠点を開設した直後は設備費や人件費が先行します。
しかし、利用企業と受け入れ人数が増えれば、固定費を吸収して利益率が改善する可能性があります。
今後は農園数だけでなく、1拠点当たり売上、受け入れ人数、稼働率を見ることが重要です。
地方創生事業のリスク
高成長を続ける地方創生事業にもリスクがあります。
特に注意したいのは、サービスの社会的妥当性や制度変更です。
障がい者雇用支援サービスでは、形式的に雇用率を満たすだけでなく、障がい者本人にとって意味のある仕事や成長機会を提供できているかが重要です。
行政の考え方や制度運用が変化した場合、農園型サービスへ新たな基準が設けられる可能性もあります。
また、企業の利用意欲が景気悪化によって低下するリスクもあります。
JSHが長期的に成長するためには、法定雇用率対応だけに依存せず、障がい者の職業能力開発や定着支援で実績を積み上げる必要があります。
注目ポイント④ 在宅医療事業は将来への先行投資
在宅医療事業の2026年3月期業績は、以下のとおりです。
- 売上高:14.74億円(前年同期比7.3%増)
- セグメント損失:1.96億円
売上高は増加しましたが、セグメント損失が発生しました。
JSHは2026年3月期に、新規12事業所と14営業所を開設しています。
その結果、運営拠点は全国47拠点まで拡大しました。
訪問看護事業では、拠点を開設した直後から十分な利用者を獲得できるとは限りません。
看護師などの採用費、人件費、賃料、車両費、広告費などが先に発生し、その後に利用者数と訪問件数が増えていきます。
このため、急速に拠点を増やすと、短期的には赤字が拡大しやすくなります。
訪問看護とは何か
訪問看護とは、看護師などが利用者の自宅や施設を訪問し、医師の指示に基づいて看護サービスを提供する仕組みです。
主なサービスには、以下があります。
- 健康状態の確認
- 服薬管理
- 医療処置
- 生活相談
- 精神面の支援
- 家族への支援
- 医療機関との連携
高齢者だけでなく、精神疾患を抱える人、慢性疾患のある人、退院後の支援が必要な人なども対象となります。
病院中心の医療から在宅中心の医療へ移行が進めば、訪問看護の需要は中長期で拡大すると考えられます。
精神科訪問看護の必要性
JSHの在宅医療事業では、精神科訪問看護が重要な領域となっています。
精神疾患を抱える利用者の中には、定期的に通院することが難しい人や、服薬管理、生活リズム、人間関係などに支援を必要とする人がいます。
訪問看護師が定期的に自宅を訪問することで、以下の効果が期待されます。
- 服薬中断の防止
- 症状悪化の早期発見
- 再入院の予防
- 生活リズムの改善
- 家族負担の軽減
- 地域生活の継続
精神疾患への社会的理解が進み、地域で生活する人が増えれば、精神科訪問看護の必要性も高まる可能性があります。
在宅医療市場が拡大する理由
日本では高齢化が進み、医療を必要とする人が増える一方、病院のベッド数や医療従事者には限りがあります。
すべての患者を長期間入院させることは、医療費や病床数の面から困難です。
そのため、国も在宅医療や地域包括ケアを推進しています。
在宅医療需要が拡大する要因には、以下があります。
- 高齢者人口の増加
- 慢性疾患患者の増加
- 精神科病院から地域生活への移行
- 病床不足
- 医療費抑制
- 自宅で暮らしたいというニーズ
JSHが拠点ネットワークを構築し、安定した医療人材を確保できれば、中長期の成長市場を取り込める可能性があります。
訪問看護拠点が黒字化する仕組み
訪問看護事業の収益性は、拠点当たりの利用者数と訪問件数に大きく左右されます。
拠点を開設すると、利用者が少ない段階でも管理者や看護師の人件費、家賃などが発生します。
その後、利用者数が増え、スタッフの訪問スケジュールが効率化すると、売上が固定費を上回り黒字化します。
拠点の採算を見る際には、以下の指標が重要です。
- 登録利用者数
- 月間訪問件数
- 看護師1人当たり訪問件数
- 拠点当たり売上高
- 新規拠点の黒字化期間
- 看護師の離職率
JSHが拠点数を47まで増やしたことで、今後は新規出店のスピードだけでなく、既存拠点の稼働率を高める段階へ移ることが重要です。
在宅医療事業の黒字化が最大の焦点
地方創生事業は7.76億円のセグメント利益を生み出しています。
しかし、在宅医療事業の1.96億円の損失や本社費用、IoT事業の赤字などによって、全社では営業赤字となりました。
在宅医療事業が損益分岐点を超えれば、JSH全体の利益構造は大きく改善する可能性があります。
例えば、在宅医療事業が1.96億円の赤字から収支均衡へ改善するだけでも、全社営業利益は約2億円改善します。
さらに黒字化すれば、地方創生事業と在宅医療事業の両方が利益を生み出す二本柱の経営へ移行できます。
そのため、JSHの企業価値を左右する最大のポイントは、在宅医療事業の売上成長よりも、いつ黒字化するかです。
注目ポイント⑤ 医療人材の確保
訪問看護事業を成長させるには、看護師、作業療法士、精神保健福祉士などの人材確保が欠かせません。
医療・介護業界では人手不足が続いており、採用競争が激しくなっています。
人材不足が続くと、以下の問題が生じます。
- 新規利用者を受け入れられない
- 既存スタッフの負担が増える
- 離職率が上昇する
- 採用費が増加する
- 人件費率が上昇する
拠点を増やしても、必要な人材を配置できなければ売上を伸ばせません。
JSHが採用力、教育体制、働きやすさ、キャリア形成を改善し、医療人材を定着させられるかが重要です。
注目ポイント⑥ IoT事業を育成
JSHは子会社を通じて、不動産業界向けのIoTソリューション事業を展開しています。
2026年3月期のIoT事業は、売上高5,900万円、セグメント損失3,300万円となりました。
現時点では事業規模が小さく、先行投資段階です。
主なサービスの一つが、無人内見システムです。
無人内見システムとは、入居希望者が不動産会社の担当者と一緒に現地へ行かなくても、物件を見学できる仕組みです。
スマートロックや予約システムなどを活用し、指定された時間に利用者が物件へ入室します。
無人内見システムのメリット
不動産会社にとって、物件の内見には担当者の移動時間や人件費が必要です。
複数の内見予約が入ると、営業担当者が長時間拘束されます。
無人内見を導入すると、以下のメリットが期待できます。
- 担当者の移動時間削減
- 営業時間外の内見対応
- 人手不足への対応
- 内見件数の増加
- 予約管理の効率化
- 顧客利便性の向上
不動産業界では、紙、電話、対面業務が残る一方、人手不足や働き方改革への対応が必要です。
DX需要が拡大すれば、JSHのIoT事業にも成長機会が生まれる可能性があります。
IoT事業を第三の柱にできるか
IoT事業が地方創生事業や在宅医療事業と同じ規模へ成長するには、まだ時間が必要です。
現在は売上高5,900万円に対して3,300万円の損失を計上しており、収益モデルを確立する段階にあります。
成長のためには、以下が必要です。
- 導入する不動産会社数の増加
- 利用物件数の拡大
- 月額課金などストック収益の増加
- 他社サービスとの連携
- 販売パートナーの拡大
- 開発費と運営費の抑制
IoT事業は将来の成長候補ですが、現時点では地方創生・在宅医療と比べて不確実性が高い事業です。
投資家としては、売上成長だけでなく赤字縮小を確認する必要があります。
注目ポイント⑦ 2027年3月期は黒字転換予想
会社は2027年3月期について、以下の業績を予想しています。
- 売上高:63.8億円(前期比34.6%増)
- 営業利益:1.78億円
- 経常利益:1.50億円
- 純利益:4,000万円
- 1株当たり純利益:7.15円
売上高は前期から約16.4億円増加する計画です。
同時に、営業損失1.05億円から営業利益1.78億円へ、約2.8億円の利益改善を見込んでいます。
売上成長率34.6%という計画は非常に高く、達成には地方創生事業と在宅医療事業の両方で大幅な成長が必要です。
特に重要なのは、在宅医療の新規拠点が早期に稼働し、先行費用を吸収できるかです。
2027年3月期計画を達成する条件
黒字転換を実現するには、以下の条件が必要になります。
- 障がい者雇用支援の契約企業増加
- 農園の受け入れ人数増加
- 新規訪問看護拠点の利用者獲得
- 看護師1人当たり生産性の向上
- 人材採用費の抑制
- IoT事業の赤字縮小
- 本社管理費のコントロール
売上高63.8億円を達成しても、人件費や採用費が計画以上に増えれば営業利益は下振れします。
そのため、四半期ごとに売上成長率だけでなく、営業利益率と販売管理費の推移を見る必要があります。
注目ポイント⑧ 社会課題解決型企業としての強み
JSHは、障がい者雇用、地方創生、在宅医療、不動産DXという複数の社会課題に関わっています。
これらの分野は、国の政策とも関係が深いテーマです。
政策面で追い風となる要素には、以下があります。
- 障がい者法定雇用率の引き上げ
- 企業の人的資本経営
- 地方創生政策
- 在宅医療・地域包括ケアの推進
- 医療費適正化
- 中小企業・不動産業界のDX
社会課題が拡大するほど、JSHが提供するサービスへの需要も増える可能性があります。
一方、政策や制度に関係する事業は、法改正や報酬改定の影響も受けます。
国策関連企業であることは成長機会であると同時に、制度依存リスクも持つということです。
注目ポイント⑨ ストック型収益の可能性
JSHの地方創生事業や在宅医療事業は、継続利用が収益につながるビジネスモデルです。
障がい者雇用支援では、企業との契約が継続する限り、農園利用や雇用支援に関する収益が発生します。
訪問看護でも、利用者への継続的な訪問によって売上が積み上がります。
IoT事業も月額利用料などのモデルを構築できれば、ストック型収益になる可能性があります。
ストック型事業には、以下のメリットがあります。
- 売上予測が立てやすい
- 契約数に応じて収益が積み上がる
- 新規顧客獲得後も継続収益が得られる
- 業績変動を抑えやすい
今後は契約社数や利用者数だけでなく、解約率、継続率、1契約当たり売上も重要になります。
財務面で注意すべきポイント
2026年3月期末の自己資本比率は51.2%となり、前期末から17.1ポイント低下しました。
自己資本比率が50%を超えているため、直ちに財務危機という状態ではありません。
一方で、積極的な拠点投資や赤字により、財務負担が増加していることには注意が必要です。
今後、確認すべき項目は以下のとおりです。
- 現金及び預金
- 有利子負債
- 営業キャッシュフロー
- 新規拠点の設備投資額
- 自己資本比率
- 増資の可能性
利益が赤字でも、営業キャッシュフローが改善し、拠点投資が収益へ結び付けば財務負担は軽減します。
一方、赤字と投資が長期化すれば、借入金や株式発行による資金調達が必要になる可能性があります。
JSHの強み
高収益な地方創生事業
地方創生事業は、売上高32.05億円に対してセグメント利益7.76億円を生み出しています。
法定雇用率引き上げの追い風
企業が必要とする障がい者雇用人数が増えることで、支援サービスへの需要拡大が期待できます。
全国26拠点の農園ネットワーク
地方に拠点を持ち、企業と障がい者をつなぐ事業基盤を構築しています。
全国47拠点の在宅医療網
積極投資によって、将来の売上成長を支える訪問看護ネットワークを拡大しています。
複数の社会課題テーマ
障がい者雇用、地方創生、在宅医療、医療人材、不動産DXに関わっています。
小型企業ならではの成長余地
企業規模が比較的小さいため、在宅医療の黒字化による利益改善が全社業績へ大きく影響する可能性があります。
最大のリスク
先行投資の長期化
新規訪問看護拠点の利用者獲得が遅れると、赤字期間が長期化する可能性があります。
医療人材の不足
看護師などを確保できなければ、拠点を開設してもサービスを拡大できません。
人件費の上昇
採用競争や賃金上昇により、売上が伸びても利益率が改善しない可能性があります。
法制度の変更
障がい者雇用制度、診療報酬、訪問看護報酬などの変更が業績へ影響する可能性があります。
農園型雇用支援への規制
制度運用や行政の評価が変化した場合、事業モデルの見直しを求められる可能性があります。
借入金の増加
拠点開設や赤字補填に借入を利用すると、利息負担と財務リスクが高まります。
IoT事業の赤字継続
顧客獲得が進まなければ、開発費や営業費用が利益を圧迫する可能性があります。
業績予想の未達
2027年3月期は売上高34.6%増を計画しており、成長率が高い分、未達リスクにも注意が必要です。
景気悪化
企業の採用意欲や障がい者雇用関連予算が縮小する可能性があります。
品質・コンプライアンス
医療や障がい者雇用を扱うため、事故や不適切な運営が発生すると、企業信用へ大きな影響を与えます。
テンバガーの可能性
評価:★★★★☆
JSHは時価総額が比較的小さく、地方創生事業の成長と在宅医療事業の黒字化が実現すれば、利益規模が大きく変化する可能性があります。
特に、以下が同時に進めば企業価値の再評価が期待できます。
- 障がい者雇用支援の契約拡大
- 農園ネットワークの拡大
- 在宅医療47拠点の収益化
- 訪問看護事業の黒字転換
- IoT事業の成長
- 営業利益率の継続的な改善
地方創生事業はすでに高い利益を生み出しており、事業モデルの収益性は一定程度確認されています。
在宅医療事業が赤字から黒字へ変われば、全社利益は大きく改善する可能性があります。
一方、テンバガーを実現するには、2027年3月期の黒字化だけでは不十分です。
その後も売上と利益を継続的に伸ばし、地方創生事業と在宅医療事業の二本柱を確立する必要があります。
現時点では、成長余地は大きいものの、先行投資の回収と業績予想達成を見極める必要があるハイグロース候補と評価できます。
今後見るべきポイント
① 地方創生事業の契約拡大
企業数、障がい者受け入れ人数、農園稼働率が継続的に増加するかが重要です。
② 法定雇用率引き上げの効果
2026年7月以降、問い合わせや契約件数の増加が実際の売上へ反映されるかに注目です。
③ 在宅医療事業の損失縮小
1.96億円のセグメント損失が、四半期ごとに縮小しているかを確認する必要があります。
④ 訪問看護拠点の稼働率
47拠点の利用者数、訪問件数、1拠点当たり売上が増えているかが重要です。
⑤ 医療人材の採用と定着
看護師などの採用人数、離職率、人件費率を確認する必要があります。
⑥ IoT事業の成長
無人内見システムの導入企業数と赤字縮小に注目です。
⑦ 営業利益率
売上拡大だけでなく、全社の営業利益率が改善しているかが重要です。
⑧ 営業キャッシュフロー
会計上の黒字だけでなく、事業から現金を生み出せているかを確認する必要があります。
⑨ 財務安全性
借入金、自己資本比率、現金残高が悪化していないかに注目です。
⑩ 2027年3月期業績予想
売上高63.8億円、営業利益1.78億円という会社計画を達成できるかが最大の焦点です。
総合評価
- 成長期待:★★★★☆
- テーマ性:★★★★★
- 事業モデル・競争力:★★★★☆
- 財務安全性:★★★☆☆
- 安定性:★★★☆☆
- リスク:★★★☆☆
- テンバガー可能性:★★★★☆
まとめ
JSHは、障がい者雇用支援を中心とした地方創生事業と、訪問看護を中心とする在宅医療事業を展開する社会課題解決型企業です。
2026年3月期は売上高47.4億円となり、前年同期比19.5%の増収を達成しました。
一方、訪問看護拠点の積極開設や人材採用などの先行投資によって、営業損失1.05億円となりました。
全社では赤字となったものの、主力の地方創生事業は売上高32.05億円、セグメント利益7.76億円となり、大幅な増収増益を達成しています。
企業の障がい者法定雇用率は2026年7月に2.7%へ引き上げられる予定であり、企業が必要とする障がい者雇用人数はさらに増える可能性があります。
自社だけで障がい者の業務や職場環境を整備することが難しい企業にとって、JSHの農園型雇用支援サービスは有力な選択肢となります。
農園ネットワークは全国26拠点まで拡大しており、利用企業や受け入れ人数の増加によって、さらなる利益成長が期待されます。
在宅医療事業では、新規12事業所と14営業所を開設し、運営拠点を全国47拠点まで拡大しました。
その結果、セグメント損失は1.96億円となりましたが、将来の売上拡大に向けた基盤は構築されています。
今後、既存拠点の利用者数と訪問件数が増え、在宅医療事業が損益分岐点を超えれば、JSH全体の利益構造は大きく改善する可能性があります。
さらに、不動産向け無人内見システムなどのIoT事業も育成しています。
現時点では赤字ですが、不動産業界の人手不足やDX需要を取り込めれば、第三の収益源へ成長する可能性があります。
会社は2027年3月期について、売上高63.8億円、営業利益1.78億円を予想しています。
この計画を達成するには、地方創生事業の成長継続に加え、在宅医療事業の損失縮小と新規拠点の早期収益化が必要です。
最大のリスクは、先行投資の長期化、医療人材不足、人件費上昇、制度変更、借入金増加、業績予想未達です。
特に、在宅医療の売上が増えても、人件費や採用費が同じ速度で増えれば、黒字化が遅れる可能性があります。
今後は、地方創生事業の契約増加、在宅医療事業の損失縮小、47拠点の稼働率、医療人材の確保、IoT事業の成長、営業キャッシュフローを確認することが重要です。
JSHは、現時点では安定した高収益企業ではありません。
しかし、高収益な障がい者雇用支援事業を持ち、法定雇用率引き上げ、地方創生、高齢化、在宅医療、DXという複数の成長テーマに関わっています。
積極投資によって構築した在宅医療ネットワークが収益化し、2027年3月期の黒字転換が実現すれば、赤字成長企業から社会課題解決型の高成長企業へ評価が変化する可能性があります。
短期的には業績予想の達成度を慎重に確認しながら、中長期では地方創生と在宅医療の二本柱による成長に注目したい企業と言えるでしょう。
今注目されている有望株を効率よくチェックしたい方は、こちらの記事をご覧ください。


