- 【JPYCとJPYSCとは?】日本円ステーブルコインの違い・仕組み・将来性を徹底解説
- ① そもそもステーブルコインとは?
- ② 日本におけるステーブルコインの位置付け
- ③ JPYCとは?
- ④ JPYCの価値を支える仕組み
- ⑤ JPYCの主な用途
- ⑥ JPYSCとは?
- ⑦ JPYSCの価値を支える仕組み
- ⑧ JPYCとJPYSCの最大の違い
- ⑨ 資金移動業型と信託型の違い
- ⑩ 送金上限や利用条件の違い
- ⑪ なぜ日本円ステーブルコインが必要なのか?
- ⑫ 従来の銀行送金との違い
- ⑬ JPYC・JPYSCとWeb3の関係
- ⑭ RWAとの関係
- ⑮ デジタル証券との関係
- ⑯ AIエージェントとの関係
- ⑰ 企業間決済で何が変わるのか?
- ⑱ 国際送金への活用
- ⑲ JPYCとJPYSCは競合するのか?
- ⑳ 日本円ステーブルコインのメリット
- ㉑ 日本円ステーブルコインの課題
- ㉒ JPYC・JPYSCを利用する際の注意点
- ㉓ 日本企業への恩恵
- ㉔ 今後の日本円ステーブルコイン市場
- ㉕ 投資家が注目するポイント
- JPYCとJPYSCの違いを一本の流れで理解する
- 投資テーマとして見るJPYC・JPYSC
【JPYCとJPYSCとは?】日本円ステーブルコインの違い・仕組み・将来性を徹底解説
近年、日本でもブロックチェーン上で利用できる日本円建てステーブルコインが本格的に登場し始めています。
その中でも注目されているのが、
JPYC
と、
JPYSC
です。
どちらも、
「1コイン=1円」
となるよう設計された日本円連動型のデジタル通貨です。
しかし、同じ日本円ステーブルコインであっても、
- 発行主体
- 法律上の仕組み
- 裏付け資産
- 発行・償還方法
- 利用対象
- 想定される用途
などには違いがあります。
簡単に表すと、JPYCは資金移動業型の日本円ステーブルコインであり、JPYSCは信託型の日本円ステーブルコインです。
両者は単純に競争するだけではなく、それぞれ異なる特徴を生かしながら、個人決済、企業間決済、Web3、RWA、デジタル証券などを支える可能性があります。
今後、日本円ステーブルコインが普及すれば、私たちは銀行営業時間や従来の決済ネットワークに縛られず、ブロックチェーン上で日本円相当の価値を送受信できるようになるかもしれません。
① そもそもステーブルコインとは?
ステーブルコインとは、円や米ドルなどの法定通貨と価値が連動するように設計されたデジタル通貨です。
例えば日本円建てステーブルコインでは、基本的に、
1円
↓
1ステーブルコイン
となることを目指します。
ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は、市場の需要と供給によって価格が大きく変動します。
一方、法定通貨連動型のステーブルコインでは、現金、銀行預金、国債、信託財産などを裏付けとして価値を安定させます。
ステーブルコインの主な用途
- 国内送金
- 国際送金
- オンライン決済
- 企業間決済
- 暗号資産取引
- DeFi
- NFT購入
- RWAの決済
- AIエージェントによる自動決済
ステーブルコインは、価格変動を狙って売買する暗号資産というより、
法定通貨の価値をブロックチェーン上で移動させるための決済インフラ
としての役割が重視されています。
② 日本におけるステーブルコインの位置付け
日本では、法定通貨と価値が連動し、発行価格と同じ価値で償還できる一定のステーブルコインを、資金決済法上の電子決済手段として扱います。
電子決済手段に該当するステーブルコインは、一般的な暗号資産とは法律上の位置付けが異なります。
| 種類 | 主な特徴 |
|---|---|
| 暗号資産 | 市場の需給によって価格が変動する |
| 電子決済手段 | 法定通貨と連動し、原則として同額で償還できる |
| 前払式支払手段 | あらかじめ代金を支払い、商品・サービスの購入に使う |
日本の制度では、一定のステーブルコインを発行できる主体が限定されています。
代表的な発行方式には、
- 銀行による預金型
- 資金移動業者による資金移動業型
- 信託銀行・信託会社による信託型
があります。
JPYCとJPYSCは、どちらも日本円と連動する電子決済手段ですが、採用している発行方式が異なります。
③ JPYCとは?
JPYCは、JPYC株式会社が提供する日本円建てステーブルコインです。
1JPYCを1円として発行・償還できるよう設計されており、ブロックチェーン上で送付・受領できます。
現在のJPYCは、資金決済法上の電子決済手段として発行される日本円ステーブルコインです。
JPYC株式会社は資金移動業者として、日本円を受け取り、それに対応するJPYCを発行します。
利用者が日本円を支払う
↓
本人確認・発行手続き
↓
同額のJPYCを発行
↓
利用者のウォレットへ送付
↓
ブロックチェーン上で利用
反対にJPYCを日本円へ戻す場合は、
利用者がJPYCを償還申請
↓
JPYCを発行者へ返却
↓
返却されたJPYCを消却
↓
同額の日本円を利用者へ送金
という流れになります。
JPYC Prepaidとの違い
JPYCは、もともと日本円建てのプリペイド型トークンとして事業を開始しました。
この旧来型の商品は、現在の電子決済手段であるJPYCと区別して、JPYC Prepaidと呼ばれます。
| 項目 | JPYC Prepaid | 現在のJPYC |
|---|---|---|
| 法律上の区分 | 前払式支払手段 | 電子決済手段 |
| 日本円への償還 | 原則として自由な換金を前提としない | 発行・償還に対応 |
| 主な役割 | 商品・サービスの購入 | 決済・送金・資産移転 |
そのため、
「JPYCは前払式支払手段であり、日本円へ戻せない」
という説明は、主に過去のJPYC Prepaidを指すものです。
現在の日本円ステーブルコインJPYCとは、制度上の仕組みが異なります。
④ JPYCの価値を支える仕組み
JPYCは、発行額に対応する日本円預金や日本国債などの資産を裏付けとして価値を維持する仕組みです。
利用者から日本円を受け取る
↓
預金・国債などで管理
↓
対応するJPYCを発行
↓
償還請求に備える
利用者がJPYCを日本円へ償還できるため、ブロックチェーン市場で価格が1円から大きく外れた場合には、発行・償還を利用した裁定取引が働く可能性があります。
JPYCが1円より安い場合
市場でJPYCを安く購入
↓
1JPYCを1円として償還
↓
価格差を狙う取引が増える
↓
JPYC価格が1円へ近づく
JPYCが1円より高い場合
日本円でJPYCを新規発行
↓
市場で高く売却
↓
市場供給が増える
↓
JPYC価格が1円へ近づく
ただし、実際の市場価格は、利用するブロックチェーン、流動性、手数料、償還条件などによって一時的に変動する可能性があります。
⑤ JPYCの主な用途
JPYCは、個人利用から企業利用まで、幅広い用途が想定されています。
Web3決済
NFT、ゲーム、デジタルコンテンツなどを日本円相当の価値で購入できます。
個人間送金
対応ウォレット間で、ブロックチェーンを通じてJPYCを移動できます。
企業間決済
企業同士の支払いや精算を、スマートコントラクトと組み合わせて自動化できる可能性があります。
RWA決済
不動産、債券、美術品などをトークン化したRWAの購入代金として利用できる可能性があります。
DAO
コミュニティの報酬、運営費、プロジェクト予算などを日本円単位で管理しやすくなります。
プログラマブル決済
一定の条件が成立したときだけ、自動的にJPYCを支払う仕組みを作れます。
例えば、
商品が到着
↓
スマートコントラクトが確認
↓
JPYCを自動送金
という取引も考えられます。
⑥ JPYSCとは?
JPYSCは、日本円と1対1で連動するように設計された信託型の日本円ステーブルコインです。
SBI新生信託銀行が発行を担い、SBIグループとStartale Groupが事業開発を進めています。
JPYSCは、日本の資金決済法上の第3号電子決済手段に該当する信託型ステーブルコインです。
利用者から受け入れた資金を信託財産として分別管理し、その受益権をブロックチェーン上のトークンとして表現します。
日本円を信託へ預ける
↓
信託財産として分別管理
↓
対応するJPYSCを発行
↓
ブロックチェーン上で移転
↓
償還時に日本円を受け取る
信託型の大きな特徴は、利用者の資産を発行者自身の財産とは分けて管理する点です。
これにより、発行者や関連事業者に経営上の問題が発生した場合でも、信託財産を保護する仕組みが設けられます。
⑦ JPYSCの価値を支える仕組み
JPYSCでは、トークンの発行額に対応する日本円を信託財産として管理します。
利用者・事業者が日本円を預ける
↓
信託銀行が資産を受け入れる
↓
信託財産として分別管理
↓
同額のJPYSCを発行
JPYSCを償還する場合は、
JPYSCを返却
↓
対象トークンを消却
↓
信託財産から日本円を支払う
という流れになります。
信託型のメリット
- 裏付け資産を分別管理できる
- 発行者自身の財産と切り離せる
- 大口決済へ対応しやすい
- 金融機関や機関投資家が利用しやすい
- RWAやデジタル証券との連携を設計しやすい
JPYSCは、特に大口の資金移動、機関投資家向け取引、オンチェーン金融市場などでの利用が期待されています。
⑧ JPYCとJPYSCの最大の違い
JPYCとJPYSCの最も大きな違いは、発行の法的構造です。
| 項目 | JPYC | JPYSC |
|---|---|---|
| 通貨 | 日本円 | 日本円 |
| 目標価格 | 1JPYC=1円 | 1JPYSC=1円 |
| 法律上の区分 | 電子決済手段 | 第3号電子決済手段 |
| 発行方式 | 資金移動業型 | 信託型 |
| 主な発行主体 | JPYC株式会社 | SBI新生信託銀行 |
| 資産管理 | 預金・国債などを活用 | 信託財産として分別管理 |
| 主な想定利用者 | 個人・Web3企業・一般企業 | 金融機関・法人・機関投資家 |
| 主な用途 | 送金・Web3・決済・RWA | 大口決済・機関投資・RWA・デジタル証券 |
JPYCが個人やWeb3事業者にも利用しやすい日本円ステーブルコインを目指しているのに対し、JPYSCは信託型の制度を活用し、金融機関や企業による大規模なオンチェーン決済を重視していると考えられます。
ただし、将来的な用途は重なる可能性があり、両者が完全に別の市場だけを担当するとは限りません。
⑨ 資金移動業型と信託型の違い
資金移動業型
資金移動業者が利用者から日本円を受け取り、対応するステーブルコインを発行する方式です。
利用者
↓
資金移動業者
↓
ステーブルコイン発行
↓
ブロックチェーンで送金
個人向けサービスやWeb3サービスとの接続を柔軟に設計しやすい特徴があります。
信託型
信託銀行や信託会社が金銭信託を設定し、その受益権をステーブルコインとして発行する方式です。
利用者・企業
↓
信託銀行へ日本円を預ける
↓
信託財産として管理
↓
受益権をトークン化
↓
ブロックチェーンで移転
資産保全、大口送金、機関投資家向け取引などで強みを発揮する可能性があります。
⑩ 送金上限や利用条件の違い
資金移動業型と信託型では、制度上の制約や利用条件が異なる場合があります。
特に大口の企業間取引や金融取引では、一度に移動できる金額や残高上限が重要です。
信託型のJPYSCは、信託型電子決済手段の特徴を生かし、大口資金の移動や機関投資家による利用を想定しています。
一方、JPYCは個人や一般企業、Web3サービスを含む幅広い利用者へ日本円ステーブルコインを提供しやすい構造を持っています。
ただし、具体的な送金額、手数料、償還条件、利用可能なウォレットは、各サービスの最新規約を確認する必要があります。
⑪ なぜ日本円ステーブルコインが必要なのか?
世界のステーブルコイン市場では、米ドル連動型の通貨が大部分を占めています。
そのため日本企業がブロックチェーン上で取引するときも、米ドルステーブルコインを利用する場面が多くあります。
しかし、ドル建て通貨を利用すると、
- 円とドルを交換する必要がある
- 為替変動リスクが発生する
- 為替手数料がかかる
- 円建て会計との照合が必要になる
といった課題があります。
日本円ステーブルコインを利用できれば、
日本円
↓
日本円ステーブルコイン
↓
ブロックチェーン取引
↓
日本円で償還
という流れを作れます。
これにより、円建てのままデジタル資産やサービスを取引しやすくなります。
⑫ 従来の銀行送金との違い
従来の銀行送金は、銀行の勘定システムを使って資金を移動します。
送金者
↓
送金銀行
↓
銀行間決済網
↓
受取銀行
↓
受取人
一方、ステーブルコインでは、ブロックチェーン上のウォレット間でトークンを移動します。
送金者のウォレット
↓
ブロックチェーン
↓
受取人のウォレット
| 項目 | 銀行送金 | ステーブルコイン |
|---|---|---|
| 稼働時間 | 制度・サービスにより制約 | ブロックチェーンは原則24時間稼働 |
| 処理基盤 | 銀行システム | ブロックチェーン |
| 自動化 | 外部システムとの連携が必要 | スマートコントラクトと連携可能 |
| 国際利用 | 中継銀行が必要な場合 | 対応ネットワーク間で直接移転可能 |
| 取消・補償 | 銀行による対応が可能な場合 | 誤送信の取消が難しい場合 |
ステーブルコインは高速でプログラム可能な一方、秘密鍵の管理や誤送信への対応など、利用者側の責任も大きくなる場合があります。
⑬ JPYC・JPYSCとWeb3の関係
Web3では、ウォレットを使って暗号資産、NFT、デジタル証券などを管理します。
しかし、価格変動の大きい暗号資産だけでは、商品の価格や企業会計を安定して管理しにくいという課題があります。
日本円ステーブルコインがあれば、
- 商品価格を円で表示する
- 報酬を円単位で支払う
- サービス料金を円で決済する
- DAOの予算を円単位で管理する
ことが可能になります。
Web3サービスを利用
↓
ウォレットを接続
↓
JPYC・JPYSCで支払い
↓
スマートコントラクトが自動処理
日本円ステーブルコインは、Web3を一部の暗号資産利用者だけでなく、一般企業や消費者へ広げるための重要な決済手段になる可能性があります。
⑭ RWAとの関係
RWAとは、Real World Assetsの略で、不動産、債券、株式、美術品などの現実資産をブロックチェーン上でトークン化する仕組みです。
例えば、1億円の不動産を1万口に分割してトークン化すれば、1口1万円程度の小口商品として扱える可能性があります。
しかしRWAを売買するためには、価格が安定した決済手段が必要です。
不動産・債券などをトークン化
↓
投資家が購入
↓
JPYC・JPYSCで決済
↓
所有権と代金を同時に移転
日本円ステーブルコインを利用すれば、円建てRWAを日本円のまま売買できます。
DVP決済
DVPとは、資産の引き渡しと代金の支払いを連動させる仕組みです。
デジタル証券を移転
+
日本円ステーブルコインを移転
↓
両方が成立したときだけ決済完了
これにより、資産を渡したのに代金が届かない、代金を払ったのに資産が届かないというリスクを減らせる可能性があります。
⑮ デジタル証券との関係
デジタル証券とは、株式、社債、不動産受益権などの権利をブロックチェーン上で管理する金融商品です。
従来の証券決済では、取引成立後に清算・決済・名義変更などの処理が必要です。
デジタル証券と日本円ステーブルコインを組み合わせれば、
デジタル証券を購入
↓
JPYC・JPYSCで代金支払い
↓
スマートコントラクトが確認
↓
証券と代金を同時移転
↓
決済完了
という処理を自動化できる可能性があります。
特に信託型のJPYSCは、金融機関や機関投資家によるデジタル証券決済との連携が注目されています。
一方、JPYCも幅広いブロックチェーンやWeb3サービスとの接続を生かし、RWA決済の普及を支える可能性があります。
⑯ AIエージェントとの関係
AIエージェントとは、利用者から目的を与えられると、情報を調べ、計画を立て、必要な作業を自動的に実行するAIです。
今後はAIエージェントが、
- クラウド利用料
- API利用料
- データ購入費
- 配送費
- 広告費
- ソフトウェア利用料
などを自動的に支払う可能性があります。
AIエージェントがサービスを選択
↓
利用条件を確認
↓
スマートコントラクトを実行
↓
JPYC・JPYSCで自動決済
↓
サービスを利用
銀行口座やクレジットカードは、AIが自律的に少額・高頻度決済を行うために作られた仕組みではありません。
一方、ステーブルコインは、
- 24時間利用できる
- プログラムから操作できる
- 少額決済へ対応しやすい
- スマートコントラクトと接続できる
という特徴があります。
日本円ステーブルコインは、将来のAI経済圏における円建て決済手段になる可能性があります。
⑰ 企業間決済で何が変わるのか?
企業間取引では、請求書の発行、入金確認、消込、会計処理など、多くの事務作業が発生します。
ステーブルコインとスマートコントラクトを組み合わせれば、これらの一部を自動化できます。
商品を納品
↓
納品データをシステムが確認
↓
スマートコントラクトを実行
↓
日本円ステーブルコインを送金
↓
会計システムへ自動記録
期待される効果
- 入金確認の自動化
- 支払処理の迅速化
- 送金コストの削減
- 照合作業の削減
- 取引履歴の透明化
- 休日・夜間の決済
特に取引件数が多い企業や、複数国で事業を展開する企業にとって、決済事務の効率化は大きなメリットになる可能性があります。
⑱ 国際送金への活用
現在の国際送金では、複数の銀行や決済ネットワークを経由することがあります。
送金企業
↓
国内銀行
↓
中継銀行
↓
海外銀行
↓
受取企業
ステーブルコインでは、対応するブロックチェーン上で相手のウォレットへ直接送信できます。
日本企業
↓
JPYC・JPYSCを送信
↓
海外企業のウォレット
↓
現地通貨または他通貨へ交換
ただし、海外で利用するには、現地規制、本人確認、外貨交換、税務、受取側の対応などが必要です。
ブロックチェーン上で送れるからといって、世界中で無条件に決済できるわけではありません。
⑲ JPYCとJPYSCは競合するのか?
JPYCとJPYSCは、どちらも日本円連動型ステーブルコインであるため、一部の用途では競合する可能性があります。
しかし、それぞれの発行方式と想定顧客が異なるため、役割を分担する可能性もあります。
JPYCが強みを持つ可能性のある分野
- 個人間送金
- Web3サービス
- NFT・ゲーム
- DAO
- 幅広い事業者との連携
- 一般的なオンライン決済
JPYSCが強みを持つ可能性のある分野
- 大口の企業間決済
- 金融機関同士の決済
- 機関投資家向け取引
- RWA
- デジタル証券
- オンチェーン金融市場
将来的には、ウォレットや取引サービスがJPYCとJPYSCの両方へ対応し、利用者が用途に応じて選択する可能性があります。
⑳ 日本円ステーブルコインのメリット
価格を日本円で把握しやすい
1コインを1円として扱えるため、日本の個人や企業が価値を理解しやすくなります。
24時間送金できる可能性
ブロックチェーン自体は、原則として休日や夜間も稼働します。
スマートコントラクトと連携できる
契約条件と決済を自動的に結び付けられます。
円建て取引の為替リスクを抑えられる
米ドルステーブルコインを経由せず、円建てのまま決済できます。
少額・高頻度決済へ利用できる可能性
デジタルコンテンツやAIサービスなど、小さな支払いを頻繁に行う用途と相性があります。
RWA・デジタル証券の決済通貨になる
資産と代金をブロックチェーン上で同時に移転できます。
㉑ 日本円ステーブルコインの課題
利用できる店舗・サービスが少ない
発行されていても、実際に使える場所が少なければ普及しません。
ウォレット管理
秘密鍵を紛失すると、資産へアクセスできなくなる可能性があります。
誤送信
間違ったアドレスへ送信した場合、原則として自動的に取り消せないことがあります。
ネットワーク手数料
利用するブロックチェーンによっては、送金時に手数料が必要です。
ブロックチェーンの分断
異なるブロックチェーン上のステーブルコインを自由に移動するには、相互運用技術が必要です。
サイバーセキュリティ
ウォレット、スマートコントラクト、取引サービスなどが攻撃される可能性があります。
マネーロンダリング対策
本人確認、取引監視、不正資金の凍結など、金融規制への対応が必要です。
利用者保護
誤送金、詐欺、秘密鍵紛失などが発生した場合に、誰がどこまで対応するのかを明確にする必要があります。
㉒ JPYC・JPYSCを利用する際の注意点
JPYCやJPYSCは、1コインが常にあらゆる市場で完全に1円になることを保証するものではありません。
発行者による発行・償還では1円相当でも、外部市場では需給や流動性によって価格が一時的に変動する可能性があります。
確認すべき項目
- どの発行主体が発行しているか
- どのブロックチェーンに対応しているか
- 日本円へ償還できるか
- 発行・償還手数料はいくらか
- 最低利用金額があるか
- 送金上限があるか
- 本人確認が必要か
- ウォレットから入出庫できるか
- 裏付け資産はどのように管理されているか
同じ名称のトークンを装った偽物が作られる可能性もあるため、公式サイトが案内するコントラクトアドレスや対応サービスを確認することが重要です。
㉓ 日本企業への恩恵
日本円ステーブルコイン市場が拡大すると、発行企業だけでなく、多くの関連業界へ需要が広がる可能性があります。
金融
- 銀行
- 信託銀行
- 証券会社
- 資産運用会社
- 決済事業者
ブロックチェーン
- ウォレット
- スマートコントラクト
- ノード運営
- クロスチェーン技術
- トークン発行基盤
RWA・デジタル証券
- 不動産トークン
- デジタル社債
- セキュリティトークン
- 美術品・知的財産の小口化
サイバーセキュリティ
- 本人認証
- 秘密鍵管理
- 不正取引監視
- マネーロンダリング対策
- スマートコントラクト監査
AI
- AIエージェント決済
- 不正検知
- 自動会計
- 信用リスク分析
- 自動資産運用
データセンター・通信
- クラウド
- 金融データセンター
- 高速ネットワーク
- 障害監視
- バックアップシステム
㉔ 今後の日本円ステーブルコイン市場
今後、日本円ステーブルコインは次のような流れで発展する可能性があります。
日本円ステーブルコインを発行
↓
ウォレット・取引サービスが対応
↓
企業間決済へ導入
↓
RWA・デジタル証券と接続
↓
銀行・証券会社が本格利用
↓
AIエージェントが自動決済
↓
国内外の円建てデジタル経済圏へ発展
特に重要なのは、単にステーブルコインを発行するだけではなく、
- どこで使えるか
- どの資産を買えるか
- どの企業が導入するか
- どのウォレットや取引所が対応するか
- 日本円へ簡単に戻せるか
という実用性です。
利用できるサービスと流動性が増えるほど、日本円ステーブルコインの価値も高まります。
㉕ 投資家が注目するポイント
発行残高
JPYCやJPYSCがどれだけ発行され、実際に利用されているかを確認します。
取引件数
発行されただけでなく、決済や送金へ使われているかが重要です。
企業・金融機関との提携
銀行、証券会社、商社、決済会社などとの連携が普及を左右します。
対応ブロックチェーン
どのネットワーク上で利用できるかによって、接続できるWeb3サービスが変わります。
RWA・デジタル証券との連携
トークン化された資産の決済通貨として採用されるかが重要です。
日本円への償還性
利用者が必要なときに、安定して日本円へ戻せるかを確認します。
裏付け資産と資産保全
発行額に対応する資産が、どのように保管・管理されているかが信頼性を左右します。
法制度の変更
ステーブルコイン、暗号資産、電子決済手段に関する法律や規制の変化にも注意が必要です。
JPYCとJPYSCの違いを一本の流れで理解する
JPYC
利用者・企業が日本円を支払う
↓
資金移動業者が資金を受け入れる
↓
同額のJPYCを発行
↓
ウォレットへ送付
↓
Web3・決済・送金・RWAで利用
↓
JPYCを返却
↓
日本円へ償還
JPYSC
利用者・企業が日本円を預ける
↓
信託銀行が信託財産として分別管理
↓
対応するJPYSCを発行
↓
ブロックチェーン上で移転
↓
大口決済・RWA・デジタル証券で利用
↓
JPYSCを返却
↓
信託財産から日本円を受け取る
投資テーマとして見るJPYC・JPYSC
JPYCとJPYSCは、どちらも、
「日本円の価値をブロックチェーン上で移動できるようにする」
という共通の目的を持っています。
しかし、その仕組みと強みは異なります。
JPYCは、資金移動業型の電子決済手段として、個人、Web3事業者、一般企業を含む幅広い利用者へ日本円ステーブルコインを届ける役割が期待されます。
JPYSCは、信託銀行が発行する信託型の電子決済手段として、金融機関、企業、機関投資家による大口決済やオンチェーン金融を支える役割が期待されます。
JPYC・JPYSCの普及
↓
円建てオンチェーン決済の増加
↓
Web3・企業間決済へ拡大
↓
RWA・デジタル証券市場が成長
↓
AIエージェント決済へ発展
↓
日本円のデジタル経済圏を形成
JPYCの注目点
- Web3での利用拡大
- 対応ウォレット・チェーンの増加
- 個人・法人決済への導入
- 発行残高の拡大
- RWAとの接続
JPYSCの注目点
- 信託型としての資産保全
- 大口資金移動への利用
- 金融機関・企業による採用
- デジタル証券決済
- オンチェーン金融市場への接続
まとめ
JPYCとJPYSCは、日本円と1対1で連動することを目指す日本円ステーブルコインです。
JPYCは資金移動業型、JPYSCは信託型という違いがあります。
JPYCは、かつてプリペイド型トークンとして提供されていましたが、現在は発行・償還に対応する電子決済手段として展開されています。
JPYSCは、信託銀行が裏付け資産を信託財産として管理する信託型ステーブルコインです。
今後、日本円ステーブルコインが普及すれば、
- 銀行送金
- 企業間決済
- Web3
- RWA
- デジタル証券
- AIエージェント決済
などがブロックチェーン上でつながる可能性があります。
JPYCとJPYSCは、どちらか一方だけが残るというよりも、それぞれ異なる制度と強みを生かしながら、用途に応じて使い分けられる可能性があります。
JPYCはWeb3と日常的な円決済をつなぎ、JPYSCは信託・金融市場とオンチェーン資産をつなぐ存在として、日本のデジタル金融インフラを支えていくことが期待されます。

